グッバイ、レーニン!/ヴォルフガング・ベッカー

東西冷戦時代の分裂していた東ドイツのある家庭の話。社会主義者の母親は、息子が統一デモ行進に参加しているのを見て、ショックで心臓発作で倒れる。
ドイツが統一してから、母親が目覚めるのだけど、少しのショックが命取りと医者に言われる。息子たちは、ドイツ統一を母親に気付かれないように、食べ物からテレビ番組まで自分たちで用意し、東ドイツが何一つ変わってないように振る舞う。
母親に嘘をつきながらも息子たちは、あったかもしれない未来であり、自分たちも見たかったかもしれない未来を演じている。それは、理想の世界への未練なのかもしれない。
私はベルリンの壁が崩壊した時なんて覚えていなくて、物心ついた時から、私の見る世界は資本主義の国が強くて、共産主義が思想として資本主義に対抗できるだけの力を持っていた時代があったなんて想像もできなくて、それでもそこにある複雑なドラマには心ひかれた。
セプテンバー11」のショーン・ペンの作品も、一つの歴史的な出来事を裏から見るような作品だったけど、この映画はそんな印象を持った。一つの出来事でも、見る角度で全然違うものなんだな。