リアリズムの宿/山下敦弘

映画作りをしている若者二人が、顔見知りという程度の関係なのに、訳あって二人旅をする羽目になるという話です。泊まる宿はどこもマトモじゃない宿ばかりだし、冬の海でなぜか裸の少女と出会ったりする。何だか、大きなコンプレックスっていうか、それに耐えることによって生まれるようなつまらない自尊心っていうか、未来に対する冷めた目とか、惰性とか甘さとか。そんな感じの男二人なのに、旅に出て、見たくなくても世の中に確かに存在しているシビアなものを発見してしまったりして、なんていうか、気まずい感じになる。偶然聞いてしまう嫌な感じの会話とか、泊まった宿の奥の部屋の襖の隙間から覗いている病弱そうな老人とか、生活を重ねた風呂場の汚れとか、とても身近な痛々しさが超リアル。でも、日常に溢れてる侘びしさこそ、人間の生活で、でも、そんな気まずさから、私たちは普段どれほど目を背けながら生きてるんだろうなぁなんて思う。人間はずるくて格好悪くて不器用で切なくて気まずいものなんでしょう。山下敦弘監督は凄すぎる。ハマりすぎてる音楽を作るくるりも凄すぎる。