三里塚・第二砦の人々/小川紳介

小川紳介作品は、アテネフランセ文化センターだとか、昔あったBOX東中野で何本か観たけどやっぱり凄まじい。
成田空港が出来る時のいわゆる三里塚闘争の記録映画。闘争に備えて戦略を練る農民たち。ある時は、土地と心中するかのように根をはる樹木に自らの身体を鎖で縛り付ける親子。砦に突っ込むブルドーザーに火炎瓶を投げる農民。砦の内に向かっての放水に消える火炎瓶。雨の中での農民と機動隊の闘争。泣きながら語りかける農民を無視する機動隊。「これがほんとの地獄だ」と呟く農民。凄い。
カメラが、もっと近くでと願っているかのように、押されながらもぶつかりながらも、とことんまで踏み込んでた。ここまで踏み込んだ映像は小川紳介作品じゃなきゃ観られないんだと思う。田村正毅さんのカメラ凄い。一億円借金してたくさん映画作っただけのことはある。
成田空港は滑走路の拡張とかで未だに反対運動とかあるらしい。正直、私は農業はよく分からないから他人事の部分が強いのだけど、スクリーンの中からでも執念が伝わった。
ところで、三年くらい前のアテネフランセ小川紳介の特集上映に行った時は、女も若者も私だけで、ちょっと気まずかったんだけど、今回の特集上映は若い人も女性もいっぱい。この数年に何があったんだろう。