ある朝スウプは/高橋泉

この前のオールナイトのライヴの前に少し時間があって、一人でユーロスペースで観ました。
あるカップルが同棲してて、男の方がパニック障害になってしまうのだけど、その設定だからか、何だか息苦しい映画でした。ビデオ撮りで、画面が小さかったからというのもあるのかな。何だか、白々しいまでにキレイなモノが、不完全で歪な入れ物に詰め込められてるような印象でした。結構凹んだ。けど私は、何だかよくわかんないけど、この映画は大好きだった。
男が病んでしまってカルトな宗教みたいなのにハマって、女は働けない男の面倒をみて、それ自体は別れないで偉いねって感じなんだけど、何だか純粋なお世話には見えないのがリアルだった。女が上にいたいと思ってそうに見える感じ。個人的には、もし私が愛する人のお世話をすることになったとして、そこに意義っていうか、充実感みたいのを見つけるとしたら、自己犠牲の感覚も含んだ優越感みたいな感情なんじゃないかなぁって思う。私がそうなりそうだから、この映画の女性がそう見えるだけかもしれないし、もちろんそうじゃない人もたくさんいるだろうけど。
女が男を弱まらせたいかのように傷つけるようなこととか言ったり、罪悪感を刺激しそうなくらいの過剰な優しさを見せたりして、普通の男なら通用しそうな駆け引きをしてるように見えるのだけど、この二人は価値基準をおく場所の違いがあるから、駆け引きが全然成立してない感じが息苦しくなった。これが宗教なんだ、とは言いたくない。これは、あくまでカルト宗教なんだと思う。宗教に限らず、価値基準が完全に違うところにいってしまったら、もう崩壊しかないのかなって思った。悲しいけどリアルだった。