九月文楽公演

通し狂言仮名手本忠臣蔵」の第3部を聞いてきました(文楽は「聞く」というと知って、早速使ってみた)。
前に五月の文楽公演の感想を書いた時に、まだまだ慣れなくて、一回は寝てしまうと書いたけど、今回は本当に全く飽きずに観られて、やっと落ち着いて聞けるようになった。
まず、忠臣蔵って、私、よく話を知らなかったのだけど、今回ほんと面白かった。
何ていうか、私は文楽を観てて、怒涛の家族愛とか、美しい仁義とかに感動してるんじゃなく、何かに誠実であろうとすると、凄く残酷にもなれるんだよなぁってところが見えた時に、時代を超えて、シンパシーを感じている気がする。虚無僧が現れるシーンは、感動的なシーンでもあるのだけど、絵的なものもあって、凄く恐怖を感じた。私は、この虚無僧が、犠牲になることを、とても嬉しく思ってるということが、何か私ってとても残酷とか思った。
基本的に、先に本を読んでいるからというのもあって、途中から、全ての登場人物が宿命というものを望んでるように見える。まあ私がそう見てるからなんだけど、今回は特に、死ぬ人も幸せな話だったからそう感じたのだと思う。とは言っても、人形たちは、どんな動きをしようと本当に無表情なので、どんな複雑な感情を持ってるかなんて分からないとか思えて、自分の中でただただ幸せな話として観たいという感覚とか、いくら何でも表面上に見える美しいだけの世界の訳がないっていう意地悪な感覚とか、語りと三味線に酔いしれながらも、頭の中は超冷静に人間というものについて考えてしまってたりする。
そんで、ラストはセットが大々的なわりに呆気にとられるほど潔かったけど、それが終わりが来るってことだけど、物語って全部繋がってくんだよねって感じがして、早く何か観たり聴いたりしたくなった。
そんな訳で、これからどんどんいろんなものを鑑賞していきたいなと、改めて思ったりしました。