残虐記/桐野夏生

残虐記ある作家の夫が編集部に失踪した妻の原稿を送る。その妻の手記という形態の小説。
その手記には、その作家が小四の時に、25歳の男に一年間監禁されてた事と、そこから救出された後の事を書いてるだけど、読むのが嫌になるほど生々しい不気味な恐怖。人間の醜さがつまってて、五感を刺激する気色悪さ。桐野夏生すごい。「グロテスク」を読んだ時は、女性特有のコンプレックスとか見栄とか女子のスクールカーストの生々しさに鳥肌がたったけど、この作品の人間の醜さも本当にリアル。桐野夏生って、すごい美人で才能ある人なのに、どうしてこんな下劣な世界がリアルに書けるのかと思う。きっと敵に回すと怖いタイプのような気がする。ラストだけどうしても納得いかないけど女性作家にしか書けないラストだと思いました。