読書

犯人に告ぐ/雫井脩介

妹が持ってたから借りて読んでみた。厚さのわりに読みやすい。内容は、私には普通だったけど、厚いからちょっとした達成感。何だか硬派だし、男の人の方が好きそう。 ある幼児誘拐殺害事件が起きて、警察は挑発的な犯人の性格を分析して、テレビと組んで「劇…

グラスホッパー/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の新作読みたいなぁ。この小説も、雰囲気が映画的で、キャラクターが個性的で、ザッピングっぽい構成で、細部がオシャレで、エピソードが小粋で、最後までノリを大切にする感じが、伊坂幸太郎だなって感じ。最近の伊坂幸太郎は自己模倣っぽいって…

点と線/松本清張

最近私の中で名作ミステリー&本格ミステリーに挑戦してます。しかも、携帯の電子書籍で。昔のミステリーなんて、小学生時に江戸川乱歩だとか横溝正史だとかを読んだ以来です。横溝正史なんて、今考えると、よくあんなおどろおどろしいの読めたなぁと思いま…

絶望・断念・福音・映画ー「社会」から「世界」の架け橋(オン・ザ・ブリッジ)/宮台真司

ダ・ヴィンチで連載してた、映画を社会学的に解釈した評論集。こういう評論は読んだことないタイプだったから、楽しめたけど、とりあえずこの本の感想は絶対長くなるから、また今度時間がある時に書きます。

ジョンレノン対火星人/高橋源一郎

高橋源一郎って、小説は初めて読んだのだけど、面白い。書評とかエッセイとかコラムみたいなののイメージが強いのだけど、そういうの読んでも私的に好きなセンスを持ってる作家だと思ってた。最近だと、イラクの人質の事件の時に朝日新聞に書いた文章は、本…

深紅/野沢尚

家族を惨殺されて生き残った少女が、その犯人の娘が同じ年だと知り、会いに行く話。 設定は超悪魔なのに、すごく温かみのある話だった。喪失感とか罪悪感とかがリアルで、犯人の娘に会った時の少女のジレンマが切なかった。そして、私的にかなり意外な展開で…

残虐記/桐野夏生

ある作家の夫が編集部に失踪した妻の原稿を送る。その妻の手記という形態の小説。 その手記には、その作家が小四の時に、25歳の男に一年間監禁されてた事と、そこから救出された後の事を書いてるだけど、読むのが嫌になるほど生々しい不気味な恐怖。人間の醜…

レイクサイド/東野圭吾

映画観てから原作読んだけど、結構そのまんまだったんだぁって感じ。「理由」ほどじゃないけど。セリフとか、終わり方とかは大体同じで。違うのは、始まり方と、登場人物の数と、光に弱い設定があんまり強調されてないというのと、夕食のシーンとか。あと、…

リピート/乾くるみ

乾くるみは、「イニシエーション・ラブ」読んで、ただ者じゃないと思ってはいたけど、それにしてもこの小説は面白かった。エンターテイメントと呼ぶのに相応しい小説だと思う。 主人公が、自分は10ヶ月とちょっと前まで人生を戻ってやり直したという人から、…

蛇を踏む/川上弘美

表題作は芥川賞作品。蛇を踏んだら女になってついてきてしまう話。この説明自分で書いててもよく分かんない。しかもその女はお母さん。とか書くと、もっとよく分かんない。ちなみに表題作以外の二編はもっともっとわけ分かんない。 この作家さんの小説読みな…

リトル・バイ・リトル/島本理生

お風呂の時間だけで読めた。芥川賞向きに書かれた長さと内容だなという感じの本。母親と種違いの妹の暮らす18歳の女の子の話。お父さんには暴力の思い出もあり良い思い出もあり複雑な感情。接骨院で知り合った男の子は格闘技をやってる。なんというか、この…

知識人99人の死に方/荒俣宏

今日オフ会で年上の女性の方と話してて、死に関する話をいろいろと聞いて、この本を思い出した。 タイトルの通り作家など99人の死に際のエピソードが書かれてる本。最期にしっかり言葉を遺してる人ってわりと多いのだなと知った。心臓が一度とまって、また動…

みんな元気。/舞城王太郎

空飛ぶ女の子の家族の話。舞城王太郎の小説って、相変わらず内容は突飛だけど、その設定が読んでるうちに普通に感じてきて、そのうち空飛ぶ話でもうんうんと共感できる。「阿修羅ガール」に続いて、インパクトのある台詞が多々。図書館に返す前にメモってお…

青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!/青山真治・阿部和重・中原昌也

1500円だったけど、発見時に即買いました。映画の対談集と言っても、私はこの3人の方々の知識についていくことはもちろん出来ないので、よくわからないまま読んでたりするのだけど、とりあえず会話が面白かった。下ネタも凄いけど面白かった。あと、悪口が…

人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ

絶賛されるの分かる。めちゃめちゃ良かった。描写がかなりハマった。美術の学生とその先生のラブストーリー。若い女の人が、若い男性と中年の女性という、本人とは全然違う設定で書いてるのが凄い。 このタイトル、人=他人なのかと思ってたら、人=人間って…

ZOO/乙一

乙一の短編集。帯の言葉が北上次郎さんの感想「何なんだコレは」。その感じわかる。この若さでこの面白さは素晴らしすぎる。いろんなタイプの短編があって飽きずに楽しめるし、怖がりの私でも読める感じのホラーだし。ホラーというかサスペンスというかミス…

蛇淫/中上健次

最近親殺しのニュースをよく聞く。この本の表題作「蛇淫」も親殺しの話。映画「青春の殺人者」の原作。映画も凄かった。尊属殺人の心理って、愛情とその逆ベクトルの分の憎しみと劣等感とか、いろいろ混じって起こるのかなって思う。前にこの日記に書いた、…

十九歳の地図/中上健次

初期の短編集。表題作は、新聞配達の男が脅迫魔になる話。中上健次の書く青年の悶々とした感じは迫力ある。実際にあった事件を元に書いたらしく、犯人の心情とか中上健次の想像力の凄さを感じた。お兄さんが自殺した話は、自分の話を織り交ぜてるのかな。ど…

パークライフ/吉田修一

芥川賞作品。日比谷公園を舞台にした話。「長崎乱楽坂」は、すごい中上健次って感じだったけど、この作品は、村上春樹か長嶋有っぽい。一見現代的な感じだけど、昔の感じも大事にしてて、わりと脱力系な感じ。読みやすくて、あんまり芥川賞って感じはしなか…

水の女/中上健次

短編集。中上健次の書く性描写はすごい。男性的で読みづらいんだけど、なんとなく女性の視点が混じってる気がする。男と女の濃く入り組んだ関わりを、力強い文章で書いてるんだけど、文章に迫力がありすぎてホラーでもないのに恐怖を感じさせるのが凄い。

山ん中の獅見朋成雄/舞城王太郎

舞城王太郎って、今のところ4冊読んだけど、この文体と雰囲気は何だかクセになる。愛を信じて全力で強く生きる登場人物が多くて、元気になる。 背中に鬣が生えてて、オリンピックに出られるほどの足の速さをもつ少年が、山の中のモヒ寛という男に書道を習う…

奇想、天を動かす/島田荘司

島田荘司という人はミステリー作家としてすごいみたいで、ミステリー初心者の私はこの作品と「占星術殺人事件」と「斜め屋敷の犯罪」を読もうとした。しかし、「占星術〜」は「金田一少年の事件簿」がトリックをパクったらしく、「金田一〜」を先に読んでた…

パラレル/長嶋有

この作家さんの小説はキャラクターが面白い。でも、離婚とか失業とか、三十代くらいがモデルっぽくてわりと自分に縁のない世界の話だったから何とも言えない。脱力系なんだけど、なんとなく癒やされました。

猛スピードで母は/長嶋有

芥川賞受賞作。「猛スピードで母は」といい「サイドカーに犬」といい、気になるタイトル。 子どもの頃の感覚がリアルで、ノスタルジックなのだけど、現代っ子ぽさも感じる。この作家さんは男性のようだけど、魅力的な女性を描くのが上手だと思った。ひょうひ…

長崎乱楽坂/吉田修一

長崎の、あるヤクザの家に生まれた子どもの成長と、家の衰退を描いた話。入れ墨の肉体を持った男たちと、家を妙に客観的に見ていてヤクザにはなれない子どもと、女でしかない女と、複雑な人間模様が面白い。だけど、とりあえず文章の雰囲気が思いっきり中上…

あらゆる場所に花束が/中原昌也

中原昌也の言動は、人間味が感じられて本当に面白い。 暴力とか嫌悪感とかどちらかというと負の方の表現が生々しい。そんな物語の中だから、ささやかな優しさが見える部分に、変に人間味を感じた。そこがちょっと怖かったけど。何だか、凄くぎりぎりの感じで…

4TEEN/石田衣良

石田衣良は、評判の良い理由が分からないまま、知り合いが貸してくれるので、なんとなく読んでる。この本は、14歳の仲良し四人組を巡るエピソードをまとめた短編集。 物語として文章として上手いのはわかるけど、何を書いてもイマイチ浅い部分だけで書いて…

あやめ 鰈 ひかがみ/松浦寿輝

3つの短編から成る小説。どれも死後の世界というか都会を彷徨う幽霊の話という感じ。どの短編も主人公がしょーもない奴だったりする。でも、最近よく見かける脱力系じゃなくて、ダメな主人公にはダメな分厳しいって感じ。3つの物語が少しづつリンクしてい…

LAST/石田衣良

いろんな人間のLAST(最後)を書いた短編集。そういえば「LAST」って「去年の」っていう意味もあった気がするけど、この小説には関係ないみたい。 最後の仕事とか、最後の電話とか、そんな感じ。借金ネタが多いんだけど、何だか石田衣良って、現実感を…

迷路館の殺人/綾辻行人

ミステリーにハマったと同時に、この館シリーズに軽くハマってきた。本格とか新本格って、難しくてトリックを聞いてもよく分かんないままってイメージがあるのだけど、この作品は、心の底から驚けた。こういうちょっと変化球なミステリーが好き。ズルいとも…